8日目の記録はこちら(リンク)。
甲州街道歩きの装備について書く。
〇バックパック 山と道 MINI
歩き旅のときにはいつも背負う相棒。とにかく薄くて軽い。背負い心地もいい。容量は25~30リットル。
欠点は高い位置で背負うのでサイドポケットの飲み物が取りにくいこと(高い位置で背負うこと自体は背負い心地という点で長所でもある)。このため、下記のGo Podを導入した。
〇ドリンクホルダー OMM Go Pod
バックパックのショルダーストラップにつける小物入れ。最初はペットボトルを入れていたが、旅の後半はマップケースを入れるのに使った。もう1個つけたい。
〇サコッシュ 山と道
トレラン系のウェアはたいていポケットがないので、これを肩にかけてスマホやら財布やらを入れる。とても便利。
〇トレッキングポール ヘリノックス GL135
15km以上歩く場合、必ずトレッキングポールを持っていく。使用すると脚への負担がまったくちがってくる。
ヘリノックスはキャンプ用の椅子とかを作ってるところで、トレッキングポールの方ではマイナー。これは見た目で選んだのだが、ふつうにレキとかブラックダイアモンドとかを選んだ方がよかったかもしれない(アクセサリーが入手しにくい)。
いまならこのネジ式のタイプを選ぶ必要性はまったくないだろう。レバー式の方が軽いし、操作しやすい。
必ず予備のゴムキャップを持っていく。地方の県道・国道は排水溝に蓋をしただけのものを歩道と称していることが多い。その蓋の隙間に先端をつっこむと、キャップが取れてなくなってしまう(かつて水戸街道でそれをやってひどい目に遭った)。
〇折り畳み座布団 モンベル
今回はあまり使わなかったが、あると便利。外にあるベンチは意外と濡れていたりする。ケツを濡らしたまま歩くほどテンションのさがることはない。
〇ベースレイヤー パタゴニア メリノ2ロングスリーブT+メリノ2タイツ(どちらも旧規格)+モンベル メリノウールブリーフ
保温と臭い対策を考えてメリノウールにした。1週間洗濯せずに着ていたが、臭いはなかった(たぶん)。毎日シャワーを浴びていたせいかもしれないが。
〇靴下 Injinji トレイルMWクルー
5本指ソックス。長い距離を歩いたあとでも指の間の蒸れがなく、とても快適。Injinjiの靴下は大好きで、ふだんから履いている。
〇ウィンドシェル OMM ソニックスモック
ウィンドシェルはレインジャケットで代用するという考え方もあるが、1枚あると便利だと思う。
ソニックスモックはハーフジップのプルオーバータイプで、フードはない。個人的にはウィンドシェルにフードはいらないような気がする。
ハーフジップは脱ぎ着するのに若干面倒だが、ジッパーの金具を噛みあわせるのに苦労しなくて済むのがいい(この手のウェアは軽量化のため、金具がやたらと小さい)。
透湿性はパタゴニアのフーディニより上だと思う。
欠点は昔の業務用ごみ袋みたいな見た目と質感。
〇フリースジャケット ホグロフス (モデル名忘れた)
薄手のフリース。フードなし。旅の間、ずっと着ていた。家でも着ている。
〇化繊綿ジャケット パタゴニア ナノパフ・フーディー
化繊綿はダウンより重くて保温性も低いが、雑に扱ってもいいので気楽だ。今回の旅では夕方以降ずっと着ていた。こんなに使うことになるとは思わなかった。マイナス10℃という気温はちょっと想定外だ。
ポケッタブルだが、ザックに入れるときはそのまま押しこむ。他の荷物の間に詰めこむ感じ。その方がスペースを節約できる。
(防寒用装備に関しては耐寒性にかなり個人差があるので、参考程度に。歩いてみて自分の基準を見つけることが大切)
〇パンツ モンベル トレールアクションタイツ
タイツという名だが裏起毛のジャージみたいな感じ。
ジッパーつきのサイドポケット2つ。ジッパーで前が開くのが地味にありがたい。
細身で表面に凹凸がないのでレインパンツが穿きやすい。
〇ショートパンツ ノースフェイスのトレラン用のもの(モデル名忘れた)
最初の2日間、タイツの上に穿いた。
〇レインジャケット モンベル トレントフライヤージャケット
モンベルのゴアテックスレインジャケットの中でも軽い方。ド定番のストームクルーザーと超軽量のバーサライトに挟まれて存在感の薄いやつ……と思っていたら、廃番になったっぽい。ミニマリズムが感じられるデザインで好きだったのだが。
(追記……廃番ではありませんでした。モデルチェンジのためにオンラインショップのカタログから外れていただけみたいです。失礼しました)
街道歩きならハードシェルやソフトシェルはいらないと思う。
防寒具の最後の砦として、日没後に着た。
〇レインパンツ サロモン(モデル名忘れた)
細身のトレラン用レインパンツ。2.5レイヤー。ポケッタブルだが物を入れるためのポケットはなし(腰の裏のメッシュポケットに収納)。
裾にジッパー付きだが、靴を履いたまま着脱するのは無理だと思う。
ウィンドシェルパンツとしてずっと履いていた。
〇靴 Inov-8 Roclite 282 GTX
ゴアテックスの防水トレランシューズ。
街道歩きは基本的にロードなのでトレランシューズは不向きなのだが、防水性のあるロード用シューズがほとんど存在しないので、トレランシューズの中から選ぶのもアリだと思う。
Roclite 282 はけっこう極端な軽量シューズで、プロテクションがあまりなく、舗装路を歩くと足が左右にぶれるような感触がある。今回履いたのは、履き古したものなのでソールが磨り減っていて、ロードでもそれほど不安定ではなかった。
爪先はやや広め。
Inov-8にはParkclaw 275 GTX というロードでもトレイルでも行けるというシューズがある。これはちょっと気になる。
〇グローブ ノースフェイス(モデル名忘れた)
掌にパッドが入った自転車用みたいなグローブ。トレッキングポールを使うならグローブをした方がいいと思う。おそらく自転車用のものをさがせば選択肢がひろがる(登山用でこの手のはすくない)。
指先が出るタイプはやめた方がいい。指の腹の皮が剥ける可能性があるのと、カットオフされた部分の縁がこすれて痛い。
手袋を使うとスマホが操作しにくいし、いろいろ邪魔くさいが、手の皮が剥けたりすると気になって旅が楽しくなくなる。
〇レイングローブ モンベル Outdryレイングローブ+モンベル シャミースインナーグローブ(ライナー)
レイングローブだが防寒用としても使った。
シャミースの方はちょっと繊細で、ベルクロに触れると簡単に毛羽立ってしまう。
マイナス10℃だとややパワー不足。ライナーを一段厚くしてアウターのサイズをあげるか。
〇帽子 H&Mのランニング用のビーニー
かなり薄手のもの。帽子はなるべく薄手で耳を隠せるものという条件で選ぶ。
フリースなどの暖かいものは必要ない。耳を隠せればある程度の寒さまではしのげるし、それ以上寒くなればジャケットのフードをかぶればいい。
〇レインキャップ OMM カムレイカ・レインキャップ
ソフトシェル素材のレインキャップ。つばが長くてレインジャケットの補助として使えるかと思い、持っていった。使う機会はなかった。
〇サングラス sportEYZ
ペラペラのフィルム状で、巻きつけるような感じで装着するサングラス。眼鏡の上から着けられる。欠点は見た目にちょっとTOM★CAT感が出てしまうこと。
甲州街道は東西に走っているので、諏訪方面に行くなら、午後は西日を正面から浴びることになる。サングラスがないとつらい。
〇ゲイター マウンテン・ハードウェア セタ・ランニング・ゲイター(旧モデル)
トレラン用のゲイター。低山では杉の葉が靴の中に入りやすいので、よく着用している。
今回は雪が入るのを防ぐために着けた。防水ではないが、靴や靴下はまったく濡れなかった。
メーカーのサイトにないのでもう廃番?
〇寝間着 モンベル ジオラインMWの上下 フェニックスのボクサーブリーフ Point6のメリノウールソックス SKINSの疲れを取るとかいう靴下
SAS方式で寝間着は絶対に濡らさないようにする。
いざというときには行動着の代わりになるものを選んだ。
〇地図
スマホで下記リンクの地図を見ながら歩いた。
https://www.google.com/maps/d/viewer?mid=1i3wz3eANl88vGf1HIvoZfpdBlic&hl=en_US&ll=35.95724423045533%2C138.41333633052068&z=11
また、大高利一郎『増補改訂版 街道を歩く 甲州街道』(揺籃社 2011)という本の地図部分をコビーして持ち歩いた。この本を出している出版社は甲州街道沿いにある(八王子の追分町交差点を過ぎたあたり)。管見に入った中では甲州街道歩きの本はこれが一番いいように思う。
〇地図入れ SEA TO SUMMIT ウォータープルーフマップケースL
とても柔らかい材質の透明な地図入れ。ボディ部分はとても柔らかいのだが、どういうわけかジッパー部分がカッチカチになってしまって人間の力では閉めることができない。そのため現状では「ウォータープルーフ」ではなくなっている。とりあえず使ってはいるが、おすすめしない。
〇ドライサック SEA TO SUMMIT
ザックにレインカバーを着けず、中にドライサックを入れて雨対策をする。フロントポケットの方は中にごみ袋を入れてドライサック代わりにした。
〇スタッフバッグ
いつもなら大き目の服をスタッフバッグに入れるが、今回はそのままザックに押しこむだけにした。寝間着や電子機器などはジップロックのイージージッパーに入れた。100均の類似商品はジッパーのスライダーがしょぼくて使い物にならなかったので、旭化成のものを買った方がいい。
〇チェーンスパイク モンベル
雪が降ったので急遽買った。軽アイゼンより使いやすくてよかった。
〇ヘッドランプ ブラックダイアモンドの一番安いやつ
山の中ほど真っ暗にはならないのでとりあえず点けばいい。足元を照らすのではなく、対向車に存在を知らせるための光。おそらく甲州街道歩きで一番のリスクは狭い歩道とそのすぐそばを走り抜ける自動車だ。夕方以降は本当に怖い。
これといっしょにジェントスのLEDセーフティバンドを腕に巻いた。
〇サプリメント
マルチビタミン・アミノバイタル・食物繊維の3種を飲んだが、効果はよくわからない。
〇その他
モバイルバッテリー……寒さでバッテリーが飛んだときに使った。ただ接続するだけでは復活せず、スマホ側を温める必要あり。
カイロ……スマホを温めるのに使った。
Kindle Paperwhite……移動中の時間つぶしに。
行動食……よく食べたのはソイジョイと柿の種。昼食はそれで済ます。ネズミのようにとにかくずっと何かしら食べていた。
水筒……今回はペットボトルで済ませた。
ファーストエイドキット……薬とか絆創膏とか。
リップクリーム……冷たく乾いた風を浴びているとすぐ唇が切れるので。塗っておくと水や行動食に血の味が混じらずに済む。
〇持っていけばよかったもの
タッチペン……レイングローブを着けているときスマホを使いやすくするため。
日焼け止め……ずっと帽子をかぶっていたら眉毛の上あたりに白いところと黒いところの境界線ができてしまった。
寒い時季に歩くのが好きなので、そういう装備になっている。夏に歩くのはやめた方がいい。以前は8月とかに歩いていたが、あれは下手したら熱中症で死んでいた。
この中で一番難しいのが靴選びだと思う。防水性を求めなければ選択肢は格段にひろがるが、濡れた靴で10時間歩くというのはやはり気が滅入る(むかし実際にやったが、歩いているときよりも帰りの電車がつらかった)。防水ソックスというのもあるが、試したことはない。これに関しては今後も試行錯誤が続きそうだ。
日頃の準備としては体力作りがある。私はジョギングをしたり、10kmウォーク(トレッキングポールなし)・25kmウォーク(ポールあり)を定期的に行っている。これによって街道歩きをはじめた当初よく経験した太腿やふくらはぎの痛みがなくなった。ただ関節や靱帯は鍛えられないので、ここの痛みはもうそういうものとして受け入れるしかない。まあ、やっぱり舗装路を1日に30kmというのは歩き過ぎだと思う。
「どう歩くか」ということは、結局は本人の資質による。私の場合、あらゆる行動を面倒くさく思う傾向があるので、それとの戦いである。 水を飲むのがめんどくさい、地図を見るのがめんどくさい、ザックをおろして1枚羽織るのがめんどくさい……こういう面倒くささに打ち勝つことが30分後、1時間後、10時間後に大きなちがいを生む。何度歩いてもこの種の面倒くささに負けてしまう。歩き旅では日常生活における悪癖がより極端な形で発現するように思う。だから自分を見つめなおすいい機会になる。
今回の記録がこれから街道歩きをしてみたいという人の参考になれば幸いだ。